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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

だから農村の農民にしろ都会の無産者にしろ、金を借りてウマく行く場合はいいとして、借りても返す見込みのないものは、遂に復興の恩典には浴したくても浴せないわけになるだろう。銀行の手先である農村高利貸から低利資金(?)を借りるにしても、又は例えば産業組合の金庫から借りるにしても、話しはつまり同じなのである。――で金を借りる能力さえないこういう連中は、内務省の御厄介にならなければならないのである。内務省は必ずしも風水害地に限らないが、現在の各種の災害の罹災関係地方に於て、地方地方に適した土木匡救事業のための予算を臨時議会に提出するという。議会はいつ開かれるのかまだ決定していないらしいが、内務省は拙速主義でその成案を得ることにするそうである。つまり風水害地に於ける金融無能者は、復興の特典にあずかる代りに地方的カード階級に登録される特典を授けてやるというのである。

文部大臣は罹災小学校に国庫補助を約束したらしいが、そういう建物や物件の復興費は今度の臨時議会で大いに予算を取ることが出来ようが、人間自身の生活の復興の方は一体どうなるのだろうか。尤も文部省は被害学童へ七十万円の食事・被服・学用品・の復興費を予備金から支出したが、子供はそれでいいとして大人の方はどうなるのか。