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ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页

青空文庫

雇人や作男などは、皆猫っかぶりの大嘘つきで、腹のうちでは何をたくらんでいるか、知れたものでないと思い込んでいる年寄りは、枝一本下すにも始めから終りまで自分の目の前でさせ、納屋へ木束を運ぶまで見届けなければ安心がならない。

大汗になりながら、馳けまわって監督するのだが、体は悲しいことに一つほかない彼女が、今こっちに来ておればあっちの畑の作男共は、どうしても手を遊ばせたり、ついなまけてしまったりする。

今朝も、鼻の頭に大粒な汗をびっしょりかいて、大忙がしに働いていながら、どういうわけかおばあさんの頭からは、どうしても禰宜様宮田のことが、離れない。

「妙な男だわえ……貧乏人の分際で……金……何にしろ遣ろうと云うのは金なんだから!」

汗を拭き拭き年寄りは、

「おい重、お前あれを知ってるんだろう。

ありゃあ一体どうした男なんだね」

などと訊いた。

「へ……

どうも、……」

「いったい何で食っているんだね、よくあれで生きて行かれたもんさ」

「ちいっとばっかり桑畑や麦畑を持ってるから、それでやってくんでござりましょう。が御隠居の目から見なさりゃあ、どいつもはあ気違えのようなもんでござりますよ。