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ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页

青空文庫

いったいどこから手を付ければ、こんなにも瘠せきった原っぱのような田地を、少くとも人並みのものに出来るのだろう……。

けれども、もうこうなっては否でも応でも収穫を得なければ大変になる。

全く強制的に彼は朝起きるとから日が落ちるまで、土龍のように働かなければならなかったのである。

禰宜様宮田は、ほんとに体の骨が曲ってしまうほど耕しもし、血の出るような工面をして、たくさんの肥料もかけてみた。寸刻の緩みもなく、この上ない努力をしつづける彼の心に対しても、よくあるべきはずの結果は、時はずれの長雨でめちゃめちゃにされた。

稲の大半は青立ちになってしまったのである。

どうしても負けてもらわなければ仕方がなくなった禰宜様宮田は、年貢納めの数日前、全く冷汗をかきながら海老屋へ出かけて行く決心をした。

小作をして、おきまり通りちゃんちゃん納められるものが、十人の中で幾人いる、何も恥かしいことじゃあない、平気でごぜ、平気でごぜ。尋常なこったと云っていられるお石の心持を半ば驚きながら、彼はいろいろと云い訳の言葉などを考えた。

あの年寄がこんなことを願いに行ったときいたばかりで、何と云うかと思っただけでさえ、足の竦むような気のする彼は、せめてものお詫びのしるしにと、新らしい冬菜をたくさん車にのせて、おずおずと出かけて行ったので