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ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页

青空文庫

鳥のように飛んで行ける!」

六の心臓は今にも口から飛び出しそうになってしまった。

ころげるようにして、小屋へ馳けつけた彼は、いきなり出ようとする空椅子を捕まえると、ギューギュー自分の体を押しつけながら、

「乗せてくんろ! よ、おじちゃん。

俺らこれさのせてくろよ!」

と叫んだ。

「まあこの餓鬼あ!

あぶねえわな、おっこったら何じょうするだ……」

「やめろっちぇな、

おっこったらはあ、木端微塵になっちまうわ」

「なあに大丈夫、

こんな餓鬼が一匹や二匹乗ったからって、すぐ落ちるような機械を、誰れもわざわざ発明もしなけりゃあ、買いもしないやな。

仕事びらきんときあ、町役場のお役人さんが、藻埴まで行って来なすつあね。

大丈夫よ、オイ、小僧。

乗ってもいいが、帰りの椅子で戻って来ねえと、ぶっぱたくぞ」

六の小さい体は、椅子の刳込みにポックリと工合よく納まる。

嬉しさで半ば夢中だった彼が、ようよう少し落付いてあたりを見まわしたときには、もう自分の体はいつの間にか、すっかり町を離れて、或る川の傍まで運ばれて来たのを知った。

河原で一人の男が石を破っている。

槌を石に打ち下した。