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ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页

青空文庫

と思うとやや暫く立ってから、カツ! カツ! という音が耳へ来る。

手元を見ながら音をきくと、ウツカツ! ウツカツ! というようだ。

「ウツカツ! ウツカツ! ウツ……」

だんだん音が微かになると、目の下には茂った森が現われた。

絶えず陽気でお喋りな若い葉どもは、お互にぴったり肩をすり合わせ、頭をよせ合って、しきりに早口で何か囁き合ったかと思うと、クックッ、クックッ微笑み始め、やがてさも堪えきれなそうにサアッと分れて大笑いに笑い潰れる。

と、仲間の一人が、ふざけるような様子をして頭を擡げ、眩しい眼をしばたたきながら、フト自分等の上に来かかる子供を見上げた。

「オヤ、まあ」

サヤサヤ、サヤサヤ……葉どもは一斉に身をそらせて彼を見る。

「アラ、人間の子よ」

「まあ、あんなものに乗っかって……おかしいわ」

「ほんとにまあ、たったあれんぼっちの子!」

「まあ……」

口々に囁きながら、行き過ぎる彼を見なおそうとして、ぶつかり合い縺れ合い、大騒ぎで身じろぎをする。

サヤサヤ……サヤサヤ……

涼しいすがすがしい薫りが六の体のまわりに満ちわたった。

足の下で山鳩が鳴く。

カッコー……カッコー……