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ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页

青空文庫

しとやかな含み声の閑古鳥の声が、どこからか聞える。

常春藤が木の梢からのび上って見上げようとし、ところどころに咲く白百合は、キラキラ輝きながら手招きをする。

六はもう、得意と嬉しさで有頂天になってしまった。

世界中が俺の臣下のように畏こまって並んでいる。

今こうやって、鳥より楽に、素晴しく空を歩いている俺、たった一人のこの俺!

スースー……スースー……

王者になったような心持でいる六をのせて、綱はだんだん山奥へ入って行った。

景色は次第次第に珍しく、不思議になって来る……

周囲はますます静かにひそやかになって来る……

六は急に飛びたくなった。飛びたく。

あの雲の峯、あの……

彼は思わず前へのめった。瞬間椅子は重心を失った。

オミョオミョワラーー――ン……

天地中が隅から隅まで、一どきに鳴り渡ると感じる間もなく、六の体は太陽の火粉のように、真下の森へ向って落ちて行った。……