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ほどう

舗道

宮本 百合子

「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页

青空文庫

みどりは秋田から逃げて上京して来た。英文タイプも出来るのだが、そんなわけで東京市内にちゃんとした紹介者と保証人がないから、ミサ子のいる××○○会社のようなところではどんなにしても雇ってはくれない。試験も、保証人もいらない個人経営の事務所の女事務員に職業紹介所から雇われるしかないのだ。

「顔だけみてすぐ雇うのヨ、そういうところじゃ。大抵一部屋だけ事務所に借りていて、隣りはもうよそだから、図々しいもんだわ。……始っからそれを予算に入れて何したって尻をもちこみようのない、保証人なんかなしの若い女をよろこんでつかうんです」

「仕事のほかのサービスまでやらされるの?」

「……私たちの辛いのはそれだわ!」

クサクサすることがあるらしいみどりの素振りのわけがわかった。ミサ子たち××○○会社の女事務員が腹を立てるのは、またそれとは違った。男の社員と女事務員とを昔風に区別し、男の社員と女事務員との間に恋愛問題でもおこると、クビになるのは大抵男の社員ではない。女事務員だけを懲罰的にクビにする。そんな片手落ちのことがあるものかと、よくみんなの問題になるのだ。

「……女事務員と云ったって、経営でいろいろ辛さもちがうんだわねえ」