轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はなのさくまえ

花の咲く前

小川 未明

「お話の木」1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,442 字 · 13 页

青空文庫

もし、このまま犬殺しに引き渡してしまったら、ジャックはどんなに自分をうらむかしれない。よし、助けてやろうと、決心しました。

あちらで、しきりに犬の遠ぼえをする声がしていました。犬殺しが近づいてきたのを警戒して、仲間に知らせているのです。幸吉は、すぐに裏手へまわりました。彼の足音をききつけると、暗い物置の中から、訴えるように、すすりなく犬の悲鳴がしました。

「ジャック! 早く遠くへ逃げろ。」

幸吉が、戸を開けると、黒犬は、弾丸のように飛び出して、叔父さんが、仕事をしている店先のブリキ板を蹴散らして、路次を抜けて原っぱの方へ逃げていったのです。

「ばかやろう、なんで犬を出したのだ!」と、叔父さんは、幸吉の頭をなぐろうとしました。幸吉は、手の下をくぐって、自分も犬の後を追って逃げたのであります。

しかし、ジャックの姿は、どこにも見えませんでした。彼は、町を離れたさびしい原っぱの中に立って、口笛を鳴らしました。どこへいってしまったか、ジャックはやってきませんでした。

いつも、こうして口笛を吹けば、遠くからききつけて、駆けてきたものです。彼は、家無しのジャックを思うと、心の中が悲しかったのでした。