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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

少時、晁補之と云う人の記行文を読んで、いまだに暗誦している句がある。「時に九月天高く露清く、山空しく、月明かに、仰いで星斗を視れば皆光大、たまたま人の上にあるがごとし、窓間の竹数十竿、相摩戞して声切々やまず。竹間の梅棕森然として鬼魅の離立笑の状のごとし。二三子相顧み、魄動いて寝るを得ず。遅明皆去る」とまた口の内で繰り返して見て、思わず笑った。この覇王樹も時と場合によれば、余の魄を動かして、見るや否や山を追い下げたであろう。刺に手を触れて見ると、いらいらと指をさす。

石甃を行き尽くして左へ折れると庫裏へ出る。庫裏の前に大きな木蓮がある。ほとんど一と抱もあろう。高さは庫裏の屋根を抜いている。見上げると頭の上は枝である。枝の上も、また枝である。そうして枝の重なり合った上が月である。普通、枝がああ重なると、下から空は見えぬ。花があればなお見えぬ。木蓮の枝はいくら重なっても、枝と枝の間はほがらかに隙いている。木蓮は樹下に立つ人の眼を乱すほどの細い枝をいたずらには張らぬ。花さえ明かである。この遥かなる下から見上げても一輪の花は、はっきりと一輪に見える。その一輪がどこまで簇がって、どこまで咲いているか分らぬ。