轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きくにんぎょう
菊人形
宮本 百合子
「大衆クラブ」1948(昭和23)年第9号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,991 字 · 16 页
よりもあとのことであった。
父方の祖母、母方の祖母が、わたしの幼い時代に徳川時代から明治初年への物語を色こく刻みこませた人々であった。いまわたしたちが封建社会の崩壊期として理解している幕末と、中途半端な開化期として理解している明治初年についてのさまざまの物語りをもって。おゆきは、二人の祖母のだれも示さなかったやりかたで、明治初年の東京の庶民ぐらしの気分をつたえたたった一人の女だった。
六つ七つのわたしは、竹すだれのかかった軒ちかく縫いものをしているおゆきのわきにころがっておゆきの家についていて、自分の家のとはちがう匂いを感じ、西日を顔にうけながらチンチンチンチンと、何かをたたいているような音をきいていた。その音は、前のうちの中からきこえた。
「あれ何の音?」
「さあ……おおかた錺屋さんで何かやっているんでしょうよ」
でも錺屋という商売が何だかわからなかった。おゆきの話ではその錺屋が大家さんなのだそうだった。おゆきがそこの人にものをいうときの声の調子で大家さんというのは普通の隣家とちがう何かであることはわかったが、カザリヤという商売との関係がわからなかった。