轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あしはみていた
葦は見ていた
山本 周五郎
「週刊朝日」1947(昭和22)年6月22日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,985 字 · 36 页
もちろんそれは口実で、杉丸東次郎だけには本心を語った。
「私は順調に出世しすぎた」と頼母は云った、「これまでは幸い不評も買わずに済んだが、このまま国老になれば必ず反感をもたれる、私にはそれが眼に見るようにわかるんだ」
「そうかもしれない」と東次郎が云った、「しかし次の交代は五年さきになるよ」
「そうらしいな」
「五年のあいだ情勢が変らずにいると思うのかね」
「どうだかな」と頼母は云った、「交代国老を待っているとすればその点も考えるだろうが、私は五年も遊んでいないつもりだよ」
東次郎は頼母の顔を見た。頼母は微笑しながら頷いた。
「そうなんだ」と頼母は云った、「杉丸だけにうちあけるが、私は城代が望みなんだ」
東次郎は圧倒されてものが云えなかった。
――たいした人間になったものだ。
と東次郎は心の中で呟いた。
――だが、本当にこの男は城代になるかもしれぬぞ。
頼母の隠居生活が始まった。長男の計之介は十五歳、二男の杉之助は十三歳になっていた。頼母は殆んど子供には無関心で、藩の文庫から書物を借り出しては読み耽り、また草鞋がけで弁当を持って、領内を丹念に歩きまわったり、熊井川へ魚釣りにでかけたりした。