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ふきのしたのかみさま
蕗の下の神様
宇野 浩二
「赤い鳥 第六巻第一号」赤い鳥社、1921(大正10)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,862 字 · 12 页
さあ、どんなにコロボックンクルは喫驚したことでしたろう、又恥しがったことでしたろう! いかに敏捷いと言ったところが、そういう風に乱暴な男に捉まえられたのでは、どうにも仕様がありません。そこで、いろいろと悲しそうな声で、クシベシに隠れ蓑を返してくれるように、と頼みましたが、相手は唯意地悪そうに、にやにや笑っているばかりなのです。終にはコロボックンクルは泣き出しました。けれども、邪険なクシベシは平気な顔をして、言いますには、「そんなに隠れ蓑が返して欲しければ、返してやらぬこともないが、その代りただでは駄目だよ」
「私に出来ることなら何でも……」とコロボックンクルは言いました。
そこで、クシベシは暫く何か考えている様子でしたが、「じゃ、俺の……」と言いました。が、余りいろいろな慾張りな考が次から次と頭の中に湧いて来ますので、どうと言って急に考が定らない風でした。が、やっとして、「そうさな、俺の、俺の一生の間食べ余るだけの食べ物と、着余るだけの着物とをくれると屹度約束したら……まあ、それで我慢してやろう」
「その位のことなら何でもない」とコロボックンクルはほっと安心したように言いました。