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じゃせいのしゅうねん

蛇性の執念

大倉 燁子

「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,981 字 · 38 页

青空文庫

『秘密の鍵をあなたが握っているという事を叔父様は御存じなんですか?』

『多分御存じだろうと存じます。ですから先生、怖しいんでございます。私さえいなかったら、この秘密は永遠に知れっこないんでございますもの。叔父様がこの東京に来ていらっしゃると承わっては怖しくって、夜もおちおち眠られません。こんどは私が殺される番でございます』

お梶さんは総毛立ったような顔をして四辺を見廻しながら声をひそめ、

『扉の外に誰かいるようじゃございませんか?』

と申しました。そう云われれば誰か鍵穴から覗いているような気がいたしました。私は立って扉を開けました。その瞬間、影のようなものがすうっと次の室へ入ったように思いました。しかしそれは見違いかも知れませんが、どうも自動昇降機の前で見た男の姿に似ていたようでした。私も何となくいい気持ちはいたしませんでしたが、お梶さんを怖れさせてはなりませんから、故意と平気を装って笑いながら申しました。

『誰がいるもんですか、余り怖い怖いと思っていらっしゃるからですよ』

私は鍵穴に内から鍵をさしておきました。これなら大丈夫外から覗かれることもありません。