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じゃせいのしゅうねん

蛇性の執念

大倉 燁子

「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,981 字 · 38 页

青空文庫

5

た。お梶さんもそれに気付いてあんな異常の動揺を感じたのではありますまいか。

5

綾子さんを訪ねてお梶さんに会って以来、文夫さんの死についての疑問はいよいよ深くなりました。何とかしてお梶さん一人にもう一度ゆっくり会ってみたいと思いながら、忙しい仕事に追われて二三日過ぎました。所がある朝、思いがけずお梶さんの訪問を受けたのでございます。喜んで直ぐ私の部屋に迎えましたが、お梶さんは私が会い度いと思っていた事なぞ存じませんから、出し抜けの訪問を気にして、無暗に詫言ばかり申しているのです。でも一と通りの挨拶をすませますと、お梶さんはちょっと口ごもって居りましたが、軈て思い切ったように切り出しました。

『実は私一人の胸に納めかねますんで――。是非先生に内証で聞いて頂きたいと存じまして上りました。文夫様の事なんでございますが――』

そら来た! と思ったので、思わず膝を乗り出しました。

『文夫さんがどうしたというの?』

『先生、先生は文夫様がどうしてお亡くなり遊ばしたと思召します?』

『――』

『私は変だ、変だ、と思いつづけて居ましたが、この間先生にお目にかかった時から、どうやらこの謎がすっかり解けたような気がいたしますのでございます。