轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

そういって正木署長は、ソッと帆村の腕を握って脈をさぐった。

*

もちろん帆村は、間もなく意識をとりかえした。そしてあとは元気に、蠅男事件の後始末に力を添えたのであった。

その後になって、当時までまだ誰にも知られなかった無慚な一つの事件が明らかにされた。それは事件の途中から行方不明になっていた池谷医師の屍体が、彼の控家の天井裏から発見されたことであった。彼は蠅男のために、そこに手足の自由を奪われたまま監禁されていたのだった。そして誰も食料を搬ぶ者がなかったままに、とうとう餓死してしまったものである。これも蠅男の残忍性を語る一つの材料となった。

池谷医師は、蠅男のような悪人ではなかった。ただ彼は蠅男から、一つの弱点を握られていたのであった。それをいうと、またくどくなるが、要するに蠅男の情婦お竜と昔関係のあった仲で、お竜は彼のために捨てられた女だったといえば、あとは誰にもそれと察しがつくであろう。彼はそんなことで、心ならずもある期間は蠅男やお竜と行動を共にしていたのである。

それはその年も押しつまって、きょう一日の年の暮だというその日の朝、大阪駅頭に珍しく多数の警察官を交えた見送りをうけつつ、東京行の超特急列車「かもめ」