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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

「これからは無礼講よ」

と、せつ子は一同に笑いかけて、

「先生。あとに残ったのは、みんな芸なし猿なんです」

「あら、ひどいわねえ。芸者はあんな柄のわるい、ストリップなんて、できないわよ」

と、婆さん芸者がシナをつくって長平にナガシ目をくれると、

「お蝶ちゃん。芸者のストリップおやり。浅い川よ。私、三味線ひくわよ、お姐ちゃアん! 三味線、もっといでえ!」

年増芸者が、たいへんなシャガレ声。

それをきくと、芸者たちの目が光った。たちまち一同がひしめくように、

「そうよ。お蝶ちゃん。浅い川よ。いいわねえ。すごいわねえ。可愛いわねえ。色ッぽいわねえ」

お蝶ちゃんとよばれた可愛い半玉は長平の隣に座をしめていたが、真ッ赤になって、うつむいた。誰に助けをもとめようかと迷ったすえ、おずおずと長平によりそって、訴えるように顔を見あげた。絵からぬけでたような顔。羞恥に真ッ赤に燃えている。切れの長い目に熱気がこもり、感情にうるんでいるのである。

「アラ、色ッぽいわねえ。お蝶ちゃん」

「旦那ア。やけるわよう」

「あの目。たまらないわねえ。男殺しイ。子供のくせに。すえが思いやられるわよう」