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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

「ゴキゲンとりむすぶの、つらい。息苦しくなるのよ。でも、こんな、息ぬきに散歩にでたりして、とても一流じゃないわね」

そして、道ばたの犬に、じれったそうに口笛をふいた。

「記代子と青木はどうしてる? まさか、死にもしないだろうね」

せつ子は驚いて長平を見つめた。

「どうして、知ってらッしゃるの?」

「穂積君がきかせてくれたのさ」

「知られぬ先に、処分しようと思っていたのに」

「処分て?」

せつ子はボンヤリ口をつぐんでいた。

三

「処分とは、おだやかならんね」

重ねて、こう問いかけると、せつ子はものうそうに目をうごかして、

「誰にも知られないうちにと思っていたのよ」

「だって、ぼくは叔父じゃないか」

「だから、尚さらのことよ。こんなこと、肉親は知る必要のないことよ」

「そういうもんかね」

「わかってるくせに」

せつ子は悠々と歩いていた。

「記代子さんは見かけによらぬアマノジャクよ。ダタイなさいとすすめても、フンという顔よ。私を嘲けるような薄笑いを浮べるだけなの」

「じゃア、記代子はニンシンしたのかね」

せつ子はうなずいて、

「私のほかには知られていないと思うけど」

「青木だろうね、男は?」