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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

人なみの生活を考えないことにしているのです」

キッピイは放二をジロジロ見廻した。放二は疲れきっている。目のまわりに青い隈がしみついている。しかしキッピイは同情した様子もなかった。

「私は、なにも知らないわ」

キッピイはすてるように呟いた。

「ですが、五人目の女の方を御存じではないのですか」

「五人目の女?」

「ええ。先日、そう仰有ったと覚えているのですが」

「五人目か」

キッピイはつまらなそうに呟いて、やがて、早口につけくわえた。

「五人目の人は知っています。だけど、言うわけには、いかないわ。言うことが、できないの。これだけのことを教えてあげるのだって、一分前まで、考えていなかったことなのよ。あとは勝手に捜しなさいよ。どこかに、いるでしょうよ。なくならないものらしいから。もう、会いに来ても、ダメ。さよなら。肺病さん。だけど、五人目は女じゃないかも知れないわ」

キッピイは走り去った。

二

放二が社へでてみると、穂積が汗をふきふき外出から戻ってきた。

「ゆうべ青木さんが新宿で愚連隊にやられたのさ。記代子さんの友だちの喫茶店でインネンをつけられたんだそうだね。