轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うらぎり
裏切り
「新潮 第五一巻第九号」1954(昭和29)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,343 字 · 70 页
こういうわけでセラダと小夜子サンは再びアタミの散歩者となったのですが、ここへ来てみれば別天地でした。いつのまに、茶のみ話の妖しい魔術にとらえられてしまったのか、この軽さ、親しさ、解放感、心ゆくまで胸いっぱいの爽やかな孤独感、それらの楽しさを今まで思いだせなかったのがフシギでした。セラダの妙に鼻につかないオッチョコチョイ、居ても居なくても邪魔にならないような、吹けばとぶような軽量感。楽でした。
話はとんで法本です。彼はまだセラダのもとへ分け前をとりに行くこともできないのでした。なぜなら当局の容疑は彼一人とは限りませんが、ともかくその日の二千万円現送の事実を知るものが容疑からまぬがれないのは当然で、法本やその腹心にはそれぞれ明瞭なアリバイがあってもまだ安心はできないのです。何より安全なのは誰の手もとにも盗んだ現金をもたないことで、やむを得ず涙をのんでセラダの豪遊を見て見ぬフリの切なさでした。むろんセラダの豪遊先、阿久津や熱海へ顔をだすこともできません。このような豪遊人士とツキアイがあるなぞと判明しては一大事で、幸いセラダは二世だから、離れている限りそのツナガリを看破される心配はない様子でした。