轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まずしきひとびとのむれ

貧しき人々の群

宮本 百合子

「中央公論」1916(大正5)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,959 字 · 118 页

青空文庫

けれども、甚助のしたことは私に軽い失望を感じさせないではいなかった。何だか情なかった。

それでも、ただ一つのことが、私を慰め力づけてくれたのである。それは、私が初めて自分の思っていた通りに自分を処置することが出来たということだ。

私は怒りっぽい。じきに腹を立てる性分である。それ故このごろでは、どうかして余り怒りたくない、寛容な心持でいたいとどのくらい願っているか知れない。けれども、自分の家にいて、弟達が何か自分の気持を悪くするようなことをすると、互の遠慮なさがつい怒らせる。それを今度は殆ど怒りを感じないで済んだということは、ほんとに嬉しかった。

で、私は今度のことを、すぐと明るい方にばかり考えたのである。これからは、畑泥棒などという者は、影も見せないようになるだろうということは、決して空想ばかりではなく思われた。

けれども、一日二日と経つままに、私の考えていたことは、やはり「実現し得ざる理想」――「お嬢様のお考え」に過ぎなかったということが分って来た。耕地には前にも増して屡々多量ずつの盗難が起るようになったのである。而も大びらに、生々した玉蜀黍が踏み折られていたり、今までは無事でいた枝豆まで根こそぎなくなってしまったり、家から遠くあなたにある池からは、慈姑(くわい)がすっかり盗まれてさえいた。