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のうそん
農村
宮本 百合子
「多喜二と百合子 七号~十三号」多喜二・百合子研究会、1954(昭和29)年12月~1955(昭和30)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,223 字 · 97 页
思わず私は顔を一撫でして女中と顔を見合せて笑った。婆さん連は、端折って居た裾を下した。広い町の両側の店々の飾りを見て歩いた。
よく見世物の小屋に立って居る様な幟りに「歳暮大売出し」「大々的すて売り」「上等舶来、手袋有※(ます記号、1-2-23)」などと書いたのがバタバタ云って居る。東京で歳暮の町を歩いて一番目につく羽子板等はあんまり飾ってなく、あれば色取った紙を板にはりつけた二三銭のか、それでなければ八重垣姫や助六等を粗末な布で押し絵にしたものばかりである。凧の方がまだ見事に書いたのがある。まだ小学があると見えてそう子供は居なかったけれ共、十四、五からの娘達が頸巻をし、手を懐に突込んで、雑貨店だの呉服屋の店先に群らがって居る。大抵は日本髪にして居る。此処いらの人から見れば、随分はでに見える着物を着て、大股にスタスタ歩く私を、いつまでも見て居るのが気に障った。化粧品店には、あざやかな掛ける人もないリボンや新ダイヤの入った大きな櫛や髱止が娘達の心を引いて光って居る。
「おともさん」が縫いあげた、帯だの、着物だのの賃銀を主屋の方に行ってもらって居る呉服屋の店先で、私は祖母の胴着と自分の袖にするメリンスの小布を見て居た。