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みちづれ
道づれ
宮本 百合子
「文芸」1937(昭和12)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,491 字 · 41 页
宏子は、その疑問を一種の謹みのような心持から口に出さず、はる子が来るとおり黙ってわきを歩いているのである。
寄宿を別々に出て、省線の或る乗換駅のホームで落ち合うまで、はる子がこまかい説明を宏子に与えなかったのは先輩らしく規律を守った当然な気持からであった。だんだん来るうちに、その気持にあやが加って、はる子は、歩きながら思わずくすくす笑い出した。
「なによ!」
慍ったような調子で自分は笑いもせず宏子ははる子をとがめるが、はる子が何を笑っているのかはよくわかった。はる子とこういう工合に連立って出て来たのは宏子にとって全く初めての経験であった。一生懸命さが、ベレーをかぶった丸い顔にかくすことが出来ずに輝やいているのである。
公園の広い門から入って、図書館のわきへ来かかると、右手の小道からサンデー毎日を片手にもった青年が出て来た。平らな、力のこもったゆっくりした歩調で来かかって、行きすぎるのかと思ったら、
「やア」
余り高くない声でそう云って、ちょっとソフトのふちへ手をかけた。
「しばらく」
はる子も今は真面目な顔つきで挨拶した。そのまま、砂利の敷かれた小道へ曲って暫く行って、はる子が、