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さかやのワンこう
酒屋のワン公
小川 未明
「童話文学」1928(昭和3)年7月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,017 字 · 6 页
そして、まだ、柔らかな足の骨は、体に過ぎた重みを与えたために曲がったのでした。
彼の歩きつきを笑う、だれがこのことを知りましょう?
しっとりとした、静かな夏の夕暮方であります。圃に立っている、とうもろこしの、大きな垂れさがった葉に腰をかけて、馬追いが、知っているかぎりの唄をうたっていました。
さわやかな風が、中空を吹きわたりました。いつ出たか、まんまるな月が、にこやかに、こちらを見て笑っていました。
「たいへんに精が出るな。」と、月はいいました。馬追いはびっくりして、二本の長いまゆ毛を動かして、声のした空を仰ぎながら、
「あのやさしい、酒屋の小僧さんが、さっきから熱心に聞いていてくれるものですから……。」と、答えたのです。
これを聞くと、月は、心配そうに、林の間から頭を振りました。ちょうど、それと同時でした。
「ワン公、晩方のいそがしいのに、こんなところで、なにを油を売っているのだ。」と、主人のどなり声がすると、つづけさまに、彼の頭をなぐる音がしました。
酒屋の白い犬が子を産みました。
「また、こんなやっかいなものを産みやがった。」と、主人はいって、子供をみんな河へ流してしまいました。