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のわき

野分

夏目 漱石

一个直言不讳的文学老师,在乡村中学碰了一鼻子灰。理想撞上现实的台风,他还能像野分一样坚持自我吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,508 字 · 189 页

青空文庫

高柳君は道也の返答をきかぬがごとくに、しゃべってしまう。

「先生、私の歴史を聞いて下さいますか」

「ええ、聞きますとも」

「おやじは町で郵便局の役人でした。私が七つの年に拘引されてしまいました」

道也先生は、だまったまま、話し手といっしょにゆるく歩を運ばして行く。

「あとで聞くと官金を消費したんだそうで――その時はなんにも知りませんでした。母にきくと、おとっさんは今に帰る、今に帰ると云ってました。――しかしとうとう帰って来ません。帰らないはずです。肺病になって、牢屋のなかで死んでしまったんです。それもずっとあとで聞きました。母は家を畳んで村へ引き込みました。……」

向から威勢のいい車が二梃束髪の女を乗せてくる。二人はちょっとよける。話はとぎれる。

「先生」

「何ですか」

「だから私には肺病の遺伝があるんです。駄目です」

「医者に見せたですか」

「医者には――見せません。見せたって見せなくったって同じ事です」

「そりゃ、いけない。肺病だって癒らんとは限らない」

高柳君は気味の悪い笑いを洩らした。時雨がはらはらと降って来る。からたち寺の門の扉に碧巌録提唱と貼りつけた紙が際立って白く見える。