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のわき

野分

夏目 漱石

一个直言不讳的文学老师,在乡村中学碰了一鼻子灰。理想撞上现实的台风,他还能像野分一样坚持自我吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,508 字 · 189 页

青空文庫

暖炉は塞いだままの一尺前に、二枚折の小屏風を穴隠しに立ててある。窓掛は緞子の海老茶色だから少々全体の装飾上調和を破るようだが、そんな事は道也先生の眼には入らない。先生は生れてからいまだかつてこんな奇麗な室へ這入った事はないのである。

先生は仰いで壁間の額を見た。京の舞子が友禅の振袖に鼓を調べている。今打って、鼓から、白い指が弾き返されたばかりの姿が、小指の先までよくあらわれている。しかし、そんな事に気のつく道也先生ではない。先生はただ気品のない画を掛けたものだと思ったばかりである。向の隅にヌーボー式の書棚があって、美しい洋書の一部が、窓掛の隙間から洩れて射す光線に、金文字の甲羅を干している。なかなか立派である。しかし道也先生これには毫も辟易しなかった。

ところへ中野君が出てくる。紬の綿入に縮緬の兵子帯をぐるぐる巻きつけて、金縁の眼鏡越に、道也先生をまぼしそうに見て、「や、御待たせ申しまして」と椅子へ腰をおろす。

道也先生は、あやしげな、銘仙の上を蔽うに黒木綿の紋付をもってして、嘉平次平の下へ両手を入れたまま、

「どうも御邪魔をします」と挨拶をする。