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のわき

野分

夏目 漱石

一个直言不讳的文学老师,在乡村中学碰了一鼻子灰。理想撞上现实的台风,他还能像野分一样坚持自我吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,508 字 · 189 页

青空文庫

「自分が明瞭とは?」

「自分の存在がです。自分が生きているような心持ちが確然と出てくるのです。だから恋は一方から云えば煩悶に相違ないが、しかしこの煩悶を経過しないと自分の存在を生涯悟る事が出来ないのです。この浄罪界に足を入れたものでなければけっして天国へは登れまいと思うのです。ただ楽天だってしようがない。恋の苦みを甞めて人生の意義を確かめた上の楽天でなくっちゃ、うそです。それだから恋の煩悶はけっして他の方法によって解決されない。恋を解決するものは恋よりほかにないです。恋は吾人をして煩悶せしめて、また吾人をして解脱せしむるのである。……」

「そのくらいなところで」と道也先生は三度目に顔を挙げた。

「まだ少しあるんですが……」

「承るのはいいですが、だいぶ多人数の意見を載せるつもりですから、かえってあとから削除すると失礼になりますから」

「そうですか、それじゃそのくらいにして置きましょう。何だかこんな話をするのは始めてですから、さぞ筆記しにくかったでしょう」

「いいえ」と道也先生は手帳を懐へ入れた。

青年は筆記者が自分の説を聴いて、感心の余り少しは賛辞でも呈するかと思ったが、相手は例のごとく泰然としてただいいえと云ったのみである。