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のわき
野分
一个直言不讳的文学老师,在乡村中学碰了一鼻子灰。理想撞上现实的台风,他还能像野分一样坚持自我吗?
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,508 字 · 189 页
公正なる人格は百の華族、百の紳商、百の博士をもってするも償いがたきほど貴きものである。われはこの人格を維持せんがために生れたるのほか、人世において何らの意義をも認め得ぬ。寒に衣し、餓に食するはこの人格を維持するの一便法に過ぎぬ。筆を呵し硯を磨するのもまたこの人格を他の面上に貫徹するの方策に過ぎぬ。――これが今の道也の信念である。この信念を抱いて世に処する道也は細君の御機嫌ばかり取ってはおれぬ。
壁に掛けてあった小袖を眺めていた道也はしばらくして、夕飯を済ましながら、
「どこぞへ行ったのかい」と聞く。
「ええ」と細君は二字の返事を与えた。道也は黙って、茶を飲んでいる。末枯るる秋の時節だけにすこぶる閑静な問答である。
「そう、べんべんと真田の方を引っ張っとく訳にも行きませず、家主の方もどうかしなければならず、今月の末になると米薪の払でまた心配しなくっちゃなりませんから、算段に出掛けたんです」と今度は細君の方から切り出した。
「そうか、質屋へでも行ったのかい」
「質に入れるようなものは、もうありゃしませんわ」と細君は恨めしそうに夫の顔を見る。
「じゃ、どこへ行ったんだい」