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ながさきのかね

長崎の鐘

永井 隆

「長崎の鐘」日比谷出版、1949(昭和24)年1月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,109 字 · 131 页

青空文庫

「ああ、それです。それこそ潰さねばならぬ階級です。戦争はもうかる商売だ。十年に一回くらい戦争があれば千万長者になれるなどと言ってるのが、この者たちです。これこそ将来好戦的な宣伝をする源となるでしょう。この者たちが若い純情な青年をそそのかして復讐などを教えこむのです」

「本当に国家を食いものにする者たちだ」

「戦争は国家にとって利益をもたらす事業でしょうか?」

「勝てば利益になるでしょう」

「自国の利益を目的として始める戦争が正義の戦いでしょうか?」

「さあ、神の前に正義でない戦いに勝利のあるわけがありません」

「それでもこの戦争の間、絶えず僕たちは神様に祈っていました。特に戦の神様に」

「戦の神様というのは、百日咳の神様というのと同じく人造の神様でしょう」

「いいえ、日本では昔からある神様です」

「あなた方よりも神学、哲学を知らない先祖が造り出したのですね。自分で自分の都合のいいような神様を造っておいて、それに自分勝手な願いをするのだから、まるでテルテル坊主みたいなもんだ。そうして神国不滅だの、神風だのと信じていたのですからねえ、虚像を相手に、ひとり拍手再拝していたわけだな」