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ながさきのかね
長崎の鐘
永井 隆
「長崎の鐘」日比谷出版、1949(昭和24)年1月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,109 字 · 131 页
原子爆弾傷
「僕はウラニウムと思うけれどね、また新しい人工原子かもしれんとも考えられる。この方面の第一人者、ローマのフェルミが米国へ渡っているという話だから」
「とにかく偉大な発明だねえ、この原子爆弾は――」
かねて原子物理学に興味をもち、その一部面の研究に従っていた私たち数名の教室員が、今ここにその原子物理学の学理の結晶たる原子爆弾の被害者となって防空壕の中に倒れておるということ、身をもってその実験台上に乗せられて親しくその状態を観測し得たということ、そして今後の変化を観察し続けるということは、まことに稀有のことでなければならぬ。私たちはやられたという悲嘆、憤慨、無念の胸の底から、新たなる真理探求の本能が胎動を始めたのを覚えた。勃然として新鮮なる興味が荒涼たる原子野に湧き上がる。
原子爆弾傷
「先生、ガスを吸うたのでしょうか? 身体中なんとなく具合が悪くて、ふらふらして倒れそうです」
「先生、爆風を吸うたからでしょうねえ、なんだか、むかむかして吐きそうで、頭が上がりません」
「私は生き埋めになりましたばってん、傷ひとつ受けなかったのに、今日はもう死にそうな気がします」