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ながさきのかね
長崎の鐘
永井 隆
「長崎の鐘」日比谷出版、1949(昭和24)年1月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,109 字 · 131 页
原子核には中性子という粒と陽子という粒とがある。陽子は陽電気をもっているが、中性子は電気をもっていない」
「原子が破裂すればどうなる?」
「この中性子や陽子の一部がなくなって、その代わりに猛烈な力ができる。そしてそれが強い勢いで噴き出すんだ。その力で工場も家もぺしゃんこになったものさ。それから中性子なども一緒に吹き飛ばされてくる。それが人間の身体に突っ込んでいろいろな原子病を起こしたんだ」
「畳屋の小父さんの頭の禿げたのも、じゃあ中性子のせいだね」
「一つの原子が破裂したって大きな力を出すんだ。一グラムの中にはちょっと数えられぬくらいたくさんの原子があるんだから、それが一度に爆発すると大変だ」
「原子は爆弾のほかに使いみちはないの?」
「いいえ、あるとも。こんな一度に爆発させないで、少しずつ、連続的に、調節しながら破裂させたら、原子力が汽船も汽車も飛行機も走らすことができる。石炭も石油も電気もいらなくなるし、大きな機械もいらなくなり、人間はどれほど幸福になれるかしれないね」
「じゃ、これからなんでも原子でやるんだなあ」
「そうだ、原子時代だ。人類は大昔から石器時代、銅器時代、鉄器時代、石炭時代、石油時代、電気時代、電波時代と進歩してきて、今年から原子時代に入ったんだ。