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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

座敷へ上げて、例の屏風を見せると、なるほどと云って裏だの縁だのを撫でていたが、

「御払になるなら」と少し考えて、「六円に頂いておきましょう」と否々そうに価を付けた。御米には道具屋の付けた相場が至当のように思われた。けれども一応宗助に話してからでなくっては、余り専断過ぎると心づいた上、品物の歴史が歴史だけに、なおさら遠慮して、いずれ帰ったらよく相談して見た上でと答えたまま、道具屋を帰そうとした。道具屋は出掛に、

「じゃ、奥さんせっかくだから、もう一円奮発しましょう。それで御払い下さい」と云った。御米はその時思い切って、

「でも、道具屋さん、ありゃ抱一ですよ」と答えて、腹の中ではひやりとした。道具屋は、平気で、

「抱一は近来流行りませんからな」と受け流したが、じろじろ御米の姿を眺めた上、

「じゃなおよく御相談なすって」と云い捨てて帰って行った。

御米はその時の模様を詳しく話した後で、

「売っちゃいけなくって」とまた無邪気に聞いた。

宗助の頭の中には、この間から物質上の欲求が、絶えず動いていた。ただ地味な生活をしなれた結果として、足らぬ家計を足ると諦らめる癖がついているので、毎月きまって這入るもののほかには、臨時に不意の工面をしてまで、少しでも常以上に寛ろいでみようと云う働は出なかった。