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かいかのおっと

開化の良人

芥川 竜之介

在明治初期的文明展上,偶遇一位神秘子爵,他对一幅铜版画的解读,藏着时代的秘密和个人的故事。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,438 字 · 32 页

青空文庫

水靄にぼやけた中には、目まぐるしく行き交う提灯ばかりが、もう鬼灯ほどの小ささに点々と赤く動いていました。三浦『どうだ、この景色は。』私『そうさな、こればかりはいくら見たいと云ったって、西洋じゃとても見られない景色かも知れない。』三浦『すると君は景色なら、少しくらい旧弊でも差支えないと云う訳か。』私『まあ、景色だけは負けて置こう。』三浦『所が僕はまた近頃になって、すっかり開化なるものがいやになってしまった。』私『何んでも旧幕の修好使がヴルヴァルを歩いているのを見て、あの口の悪いメリメと云うやつは、側にいたデュマか誰かに「おい、誰が一体日本人をあんな途方もなく長い刀に縛りつけたのだろう。」と云ったそうだぜ。君なんぞは気をつけないと、すぐにメリメの毒舌でこき下される仲間らしいな。』三浦『いや、それよりもこんな話がある。いつか使に来た何如璋と云う支那人は、横浜の宿屋へ泊って日本人の夜着を見た時に、「是古の寝衣なるもの、此邦に夏周の遺制あるなり。」とか何とか、感心したと云うじゃないか。だから何も旧弊だからって、一概には莫迦に出来ない。』その中に上げ汐の川面が、急に闇を加えたのに驚いて、ふとあたりを見まわすと、いつの間にか我々を乗せた猪牙舟は、一段と櫓の音を早めながら、今ではもう両国橋を後にして、夜目にも黒い首尾の