轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
「サンデー毎日涼風特別号」毎日新聞社、1951(昭和26)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,794 字 · 43 页
伊兵衛は元気に雨のなかを歩きだした。
それから五日めにとつぜん雨があがった。前の晩の夜半までそんなけぶりさえなく、無限のようにしとしと降っていたのが、明けてみるとからっと晴れて、それこそぬけるような青空にきらきらと日が照っていた。
「あがったぞ、雨があがったぞ、天気になったぞ」
同宿者たちの一人ひとりが、空を見あげてはそう叫んだ。生活をとり戻した者の素朴なそして正に歓喜にわきたつような声であった。そして伊兵衛のところへも主膳から使者が来た。登城の支度で来い、というのである。
「すばらしい吉兆ですね、これは」
伊兵衛はにこにこしながらそう云いかけたが、妻の諦めた顔を見ると慌てて、「私のほうはなんだけれども、みんな二十日以上も降りこめられていたんだからねえ、これでみんな救われますよ、ええ、あの喜びようをごらんなさい、私たちまで嬉しくなってしまうでしょう」
「わたくしも出立の支度をしておきますわ」
「そうですね、そう」彼はちょっと妻を見て、「――しかし今日というわけにはいかないですよ、帰りがおそくなるかもしれませんからね」
「足袋を先にお召しあそばせ」
おたよはやはりさりげなく話をそらした。