轻松读懂日语经典作品
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あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
「サンデー毎日涼風特別号」毎日新聞社、1951(昭和26)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,794 字 · 43 页
牛尾大六は白扇の上に紙包を載せ、それを伊兵衛の前に置きながら云った、「主膳が申しますには、些少ながらこれを旅費の足しにでもお受け下さるよう、とのことでございました」
「いやとんでもない、こんな」伊兵衛は泣くような顔で手を振った。「――こんな御心配はどうか、いろいろ戴いていることでもあり、どうかこんな」
「いいえ有難く頂戴いたします」
こう云いながら、おたよが来て、良人の脇に坐った。伊兵衛は狼狽したが、大六も驚いて、あやふやに頭を下げてなにか云おうとした。しかしおたよはその隙を与えなかった。いくらか昂奮はしているが、しっかりした調子で、はきはきと次のように云った。
「主人が賭け試合を致しましたのは悪うございました、わたくしもかねがねそれだけはやめて下さるようにと願っていたのでございます、けれどもそれが間違いだったということが、わたくしには初めてわかりました、主人も賭け試合が不面目だということぐらい知っていたと思います、知っていながらやむにやまれない、そうせずにいられないばあいがあるのです、わたくしようやくわかりました、主人の賭け試合で、大勢の人たちがどんなに喜んだか、どんなに救われた気持になったか」