轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
「サンデー毎日涼風特別号」毎日新聞社、1951(昭和26)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,794 字 · 43 页
たり、寝そべったり、子供をしっかり抱いたりして、じっと息をころしていた。それは嵐の通過するのを辛抱づよく待っている喪家の犬といった感じだった。
「失礼ですがもうやめて下さい」
伊兵衛は女の前へいって、やさしくなだめるように云った。
「此処にはそんな悪い人はいないと思うんです、みんな善い人たちで、それは貴女も知っていらっしゃるでしょう」
「放っといて下さい」女はそっぽを向いた、「――お武家さんには関わりのないことですよ、あたしゃ卑しい稼業こそしていますがね、自分の物を盗まれて黙ってるほど弱い尻は持っちゃいないんですから」
「そうですとも、むろんそうですよ、しかしそれは私が償いますから、どうかそれで勘弁することにして下さい」
「なにもお武家さんにそんな心配をして頂くことはありませんよ、あたしゃ物が惜しくって云ってるんじゃないんですから」
「そうですとも、むろんですよ、しかし人間には間違いということもあるし、お互いにこうして同じ屋根の下にいることでもあるし、とにかくそこは、どうかひとつ、私がすぐになんとかして来ますから」
それだけ云うと、伊兵衛はなにやら忙しそうに立っていった。