轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆきのやどり

雪の宿り

神西 清

「文藝」河出書房、1946(昭和21)年3、4月合併号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,995 字 · 51 页

青空文庫

その十三日には浄華院の戦さ、守る京極勢は一たまりもなく責め落され、この日の兵火に三宝院の西は近衛殿より鷹司殿、浄華院、日野殿、東は花山院殿、広橋殿、西園寺殿、転法輪、三条殿をはじめ、公家のお屋敷三十七、武家には奉行衆のお舎八十ヶ所が一片の烟と焼けのぼりました。最早やこうなりましては、次の火に桃花坊の炎上は逃れぬところでございます。お屋敷の方はともあれかし、この世の乱れの収まったのち、たとえ天下はどのように変ろうとも、かならず学問の飢えが来る、古えの鏡をたずねる時がかならず来る。あのお文倉だけは、この身は八つ裂きになろうとも守り通さずには措かぬと、わたくしは愈々覚悟をさだめ、水を打ったようなしいんとした諦めのなかで、深く思いきったことでございました。さりながら、思えば人間の心当てほど儚いものもございません。わたくしがそのように念じ抜きました桃華文庫も、まったく思いもかけぬ事故から烏有に帰したのでございます。……

貞阿はほっと口をつぐんだ。流石に疲れが出たのであろう、傍らの冷えた大湯呑をとり上げると、その七八分目まで一思いに煽って、そのまま座を立った。