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うんなんしゅびへい
雲南守備兵
木村 荘十
「新青年」1941(昭和16)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,859 字 · 76 页
しかも残されたものは、やり場のない、激しい忿懣の情であった。
彼は、民家の空地に咲いている花を見ても、今は何か焦立たしい気持にされるばかりで、道端の商人から色のついた飴を買う女にも――水中に野菜の車を曳かせ行く農夫にも――銀の飾りの重そうな革帯をして、身体より大きい豹の生皮をかついで来る※々族にも――纒足した女の履く、小さな桃色の可愛らしい靴を売っている男にも――
“馬鹿野郎ッ、なんにも知らねえで呑気そうに、手前達はまごまごしていると、みんな亡ぼされてしまうんだぞ”
と叫びたくなるほど腹立たしかった。
“しかし、そのお前は何をしている”
孫軍曹は、憲兵のように革帯へ吊した拳銃へ手をやった。
“これで鉱山主や大佐の金儲けのために、あの子供達を脅して、まだ追い使うつもりなのか? 俺アそんなこたア真平だッ”
彼は、吐き出すように呟いたが、油の炒ける強い臭いを漂わして軒から煙を出している飯店に気がつくと、酒でも飲んで見たらと思った。
が、彼が、その店先へ入ろうとした時、出会い頭に、襤褸を投げたように飛んで来たものがあった。
小孩の乞食である。
「出て行けッ、飛んでもねえ餓鬼だ、お客になんかねだりゃアがって、二度と店へ入って来やがったら叩き殺……ヘッへッ、へ……いらっしゃいまし、どうも飛んでもない粗相を……」