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かみなり

雷

海野 十三

「サンデー毎日 秋期特大号」毎日新聞社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,706 字 · 40 页

青空文庫

皆さん、本当の避雷装置というのは、あの尖がった長い針を屋根の上に載せて置くだけでは駄目です。あの針は、雷を引き寄せるだけの働きしか持っていないのです。あの針は、太い撚り銅線を結びつけ、その撚り銅線を長く下に垂らし、地面の下に埋め、なおその先に、一尺四方以上の大きな金属板をつけて置かなくちゃあ、避雷装置になりません。なぜって、その銅線は、針のところへ引き寄せた雷をそのまま素早く地中に流してやる通路なのです。つまり雷の正体は、電気なのですからね。その通路が完全に出来ていなければ、折角針に引き寄せた雷は、仕様ことなしに、柱や壁を伝わって地中へ逃げるから、それで柱や壁が燃えだしたり、その傍にいた人畜は電撃をうけて被害を蒙るのです。私の場合は、そういった避雷装置が完全に出来ていたので、櫓の上の四尺四方ほどの板敷の上に、平気の平左で雨に打たれていたというわけなんですよ。これで万事お分りでしょうネ」

聞いていた人々は、聞いている間だけは北鳴の話していることがよく分った。しかし彼の話が一旦終ってしまうと、なんだか模糊としてきて、分ったような分らぬような気持になってきた。