轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
でんきぶろのかいしじけん
電気風呂の怪死事件
海野 十三
「新青年」博文館、1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,788 字 · 34 页
彼は、天井裏にペタンと坐ったまま、情ないのと恐怖とで涙に暮れていた。と、泣けて泣けて仕方がない程の気持の中にも、何か異常を感じたのだろう、ひょいと立上った彼は、今迄坐っていた足の下をぞろりと撫でてみたのち、何かに触れて声を上げた。
「何だ何だ!」
懐中電灯の光線が、さっと飛んで来た。刑事たちの注視が一様に其処へ集った。
「やッ! 電線だ、こりゃ電線だぜ!」
主人は、一条の細い電線の上に坐っていたのだ。それが足の肉に喰い込んでいた痛みが偶然発見をもたらしたのである。
「電線!」という声に、一同は先刻の感電騒ぎのあったことを思い出した。そうだ、井神陽吉が男湯の中で感電して卒倒した事件は、今の今迄、恐らく皆の脳裡から忘却されていたのであろう。それほど、一同は異常に狎れていた。それを今、電線の発見から、再び一同の頭には関係づけられて考えられて来た。
赤羽主任は、つかつかとその電線の所在箇所に近寄って色々と調べてみた。と、それは蝋引きのベル用の電線で、この天井裏を匍い廻っている電灯会社の第四種電線とは、全然別種のものであることが判明した。又、それは大して古いものではないという様なことも判って来た。