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れいかん
霊感
豊島 与志雄
「中央公論」1952(昭和27)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,268 字 · 31 页
村尾さんは溜息をつきました。
「ねえ、なんだかへんでしょう。」
A女は簡単な合槌をうって話を聞いていましたが、眼尻が少しつり上り、瞳が据ってくると、いきなり言いました。
「それは、地所の障りですね。」
言ってしまってから、A女ははっと気づきました。よけいなことを口に出したという、軽い後悔の念を覚えました。
「え、地所の障りといいますと……。」
村尾さんは真剣に問いかけてきました。他人さまのことならとにかく、自分の娘の嫁入ってる家がそこにありますし、娘がげんに病人の一人なのです。
A女は当惑しまして、なるべくぼんやりした調子を取ることにしました。
「どんなところか知りませんが、女ざわりの地所ではありませんかしら。」
「女ざわりの地所って、そんなのがあるものでしょうか。」
「世の中には、いろいろなものがありますからねえ。」
「女ざわりの地所……どうしてそんなことが、あなたにお分りになりますの。」
「いえ、ただふっと、そんな気がしただけですのよ。」
「わたくしには信じられませんわ。」
A女は口を噤んで、じっと宙を見つめていましたが、ぴくりと眉根を寄せました。
「お嬢さんは、いえ、お娘さんは、だいぶお悪いんですか。