轻松读懂日语经典作品
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しもばしら
霜柱
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1960(昭和35)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,328 字 · 29 页
喜兵衛は盃を出し、おかやが酌をすると、黙って飲んでから、ふと顔をあげて訊いた。
「その義十という息子はどうした」
「知りません、それっきり音沙汰なしで八年も経ったんですから、生きていて真人間になったら、とっくに帰っているじぶんでしょう、いまだに帰らないとすると」
「酒がないぜ」と喜兵衛が遮った、「こんどはちょっと熱くして来てくれ」
おかやは立っていった。
「すると、ずいぶん辛いめにあったんだな」と彼は口の中で呟いた、「ただひねくれた意地わるじじい、というだけじゃないかもしれないな、うん、そうじゃないかもしれない」それから少しまをおいて呟いた、「ひとつ眼をあいて見直してやろう」
医者嫌いな人間が悪い風邪にかかり、くしゃみと咳と熱で苦しみながら、頑として医者を呼ばず薬ものまずにいる。そしてやがてがまんの角を折って売薬などをのむと、ふしぎに病状の軽快することがある、これは治る時期が来ていたので、薬の代りに糠味噌をのんでも同じことであろう。次永喜兵衛が忍耐しきれなくなって、従兄の石沢金之助に不平をぶちまけたのも、同じように、その状態の転換する時期が来たということ、しかもそれは単独ではなくて、二つのものがかちあうめぐりあわせになった。