轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふうりゅうばけものやしき
風流化物屋敷
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1947(昭和22)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,228 字 · 40 页
七 知らない者の強さにも隙
そして糸のようにかぼそい怨念の籠った声で、「うらめしやな、……」と呻いた。旦那の頭はこくりと前へのめったが、怨念の声は聞えなかったようだ、幽霊はもういちどうらめしいと云って容子を見た。二分ばかり待ってから、こんどは少し高い声でやった、けれど旦那にはまだ聞えないようである、しようがないもっと大きな声でやるか、しかし怨念の声などというものは糸のように細くて哀れなのが相場であって、野球の応援団のように景気よく喚きたてるわけにはいかないのである、そうかといって相手を眠らせて置いたんでは仕事にならない、仕方がないから、「えへん」と咳をしてみた、咳払いをする幽霊なんてそうざらにあるもんじゃないが、こいつは利目があって旦那の肩がぴくっと動いた、これは旨いともう一つ追っかけてやった、果して旦那は眼をさまし、「ああ誰だ、権八か」とねぼけたような声をあげた、「もう夜が明けちゃったのか」こう明朗に出られようとは夢にも思わない、幽霊は戸惑いをした、また眠られては困るから、取急ぎ凄んだ声で、「うらめしやなあ――」と呻いた。
七 知らない者の強さにも隙
「ええなんだって」平之助は振返えった、「ああおまえさんか、お茶を持って来てくれたんだね」