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めしまつま

飯待つ間

正岡 子規

正岡子規『飯待つ間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:飯待つ間、犬、画、句合の月、九月十四日の朝、くだもの、ランプの影、熊手と提灯、徒歩旅行を読む、病牀苦語、車上の春光、煩悶、初夢、夢、病、墓、酒、権助の恋、恋。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,525 字 · 126 页

青空文庫

生れは何処かと聞くと、月か瀬の者だというので余は梅の精霊でもあるまいかと思うた。やがて柿はむけた。余はそれを食うていると彼は更に他の柿をむいでいる。柿も旨い、場所もいい。余はうっとりとしているとボーンという釣鐘の音が一つ聞こえた。彼女は、オヤ初夜が鳴るというてなお柿をむきつづけている。余にはこの初夜というのが非常に珍らしく面白かったのである。あれはどこの鐘かと聞くと、東大寺の大釣鐘が初夜を打つのであるという。東大寺がこの頭の上にあるかと尋ねると、すぐ其処ですという。余が不思議そうにしていたので、女は室の外の板間に出て、其処の中障子を明けて見せた。なるほど東大寺は自分の頭の上に当ってある位である。何日の月であったか其処らの荒れたる木立の上を淋しそうに照してある。下女は更に向うを指して、大仏のお堂の後ろのおそこの処へ来て夜は鹿が鳴きますからよく聞こえます、という事であった。

〔『ホトトギス』第四巻第七号 明治34・4・25 二〕