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めしまつま
飯待つ間
正岡 子規
正岡子規『飯待つ間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:飯待つ間、犬、画、句合の月、九月十四日の朝、くだもの、ランプの影、熊手と提灯、徒歩旅行を読む、病牀苦語、車上の春光、煩悶、初夢、夢、病、墓、酒、権助の恋、恋。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,525 字 · 126 页
徒歩旅行を読む
紀行文をどう書いたら善いかという事は紀行の目的によって違う。しかし大概な紀行は純粋の美文的に書くものでなくてもやはり出来るだけ面白く書こうとする即美文的に書こうとする、故に先ず面白く書くという事はその紀行全部の目的でなくても少くも目的の五分は必ずこれであると極めて置いて、さてその外の五分は人によって種々雑多に書かれて居る事である。一、二の例をいうて見ると、山水の景勝を書くのを目的としたものや、地理地形を書くことを目的としたものや、風俗習慣を書くことを目的としたものや、あるいはその地の政治経済教育の有様より物産に至るまで細かに記する事を目的としたもの、あるいは個人的に旅行の里程、車馬の賃、宿泊料などの事を一々に記したもの、あるいは記事の方は極めて簡略に書いて、ただ文章を飾る事を務めたもの、などいろいろある。しかるに楽天の徒歩旅行というのはあるいは政治経済の事より教育の事、工業の事を記し、あるいは旅行里程宿泊料等個人的のものをも記し、あるいは衣服飲食などを論じて菓子の品評さえする事もある。その目的は実に複雑であって、そうして一日の記事を凡そ新聞の一欄位に書きつめてしまわねばならぬので、普通の者ならばとてもこの目的を達する事は困難であるべきのを楽天は平気で遣ってのけて居る。