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めしまつま
飯待つ間
正岡 子規
正岡子規『飯待つ間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:飯待つ間、犬、画、句合の月、九月十四日の朝、くだもの、ランプの影、熊手と提灯、徒歩旅行を読む、病牀苦語、車上の春光、煩悶、初夢、夢、病、墓、酒、権助の恋、恋。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,525 字 · 126 页
それをただ見つめて居ると涙が出て来る。すると灯が二つに見える。けれどもガラスの疵の加減であるか、その二つの灯が離れて居ないで不規則に接続して見える。全くの無心でこの大きな火の影を見て居るとその火の中に俄に人の顔が現れた。
見ると西洋の画に善くある、眼の丸い、くるくるした子供の顔であった。それが忽ち変って高帽の紳士となった。もっとも帽の上部は見えて居らぬ。首から下も見えぬけれど何だか二重廻しを著て居るように思われた。その顔が三たび変った。今度は八つか九つ位の女の子の顔で眼は全く下向いて居る。額際の髪にはゴムの長い櫛をはめて髪を押さえて居る。四たび変って鬼の顔が出た。この顔は先日京都から送ってもろうた牛祭の鬼の面に似て居る。かようにして順々に変って行く時間が非常に早くかつその顔は思わぬ顔が出て来るので、今度は興に乗ってどこまで変化するかためして見んと思いはじめた。まるで見せ物でも見るような気になったのだ。そう思うとそれから変りようがやや遅くなった。
その次には猿の顔が出た。それが西洋の昔の学者か豪傑かの顔と変った。その顔は少し横向きで柔かな髪は肩まで垂れて居る。