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めしまつま

飯待つ間

正岡 子規

正岡子規『飯待つ間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:飯待つ間、犬、画、句合の月、九月十四日の朝、くだもの、ランプの影、熊手と提灯、徒歩旅行を読む、病牀苦語、車上の春光、煩悶、初夢、夢、病、墓、酒、権助の恋、恋。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,525 字 · 126 页

青空文庫

何か材料はないかと見廻したけれど藤はまだ五、六寸しか伸びて居らぬ、池のあちらに遅桜が少しばかり咲いてその下につつじがある。遅桜がさかりで藤はまだ短い、という事を歌にして見たが一向に面白くない。太鼓橋を人の渡る処を詠もうと思うたが、やはり出来ぬ。それを用いて恋歌を詠んで見よかと思うたばかりで出来ぬ。一時間ばかりここに居たがいよいよ寒けがしてたまらぬから帰る事にして、車夫に負われて車に乗った。

土産に張子細工を一つほしいというたので秀真は四、五本抜いて持って来てくれた。一本選り取って見たら、頬冠した親爺が包を背負って竹皮包か何かを手に提げて居るのであった。

それから復鶩の飼うてある処を通って左千夫の家に立ちよったが主人はまだ帰らぬという事であった。いっそこのまま帰ろうかとも思うて門の内で三人相談して居たが、妻君の勧めもあるから、遂に坐敷に上りこんで待つ事にした。やがて車の音がして主人は息をきらして帰って来られた。これは妻君が方々へ使を出して主人の行先を尋ねられたためであった。

容斎の芳野、暁斎の鴉、その外いろいろな絵を見せられた。それについて絵の論が始まった。