轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页
それが、始め上体に衝動が起ったと見る間に、両眼をき口を喇叭形に開いて、ちょうどムンクの老婆に見るような無残な形となった。そして、絶えず唾を嚥み下そうとするもののような苦悶の状を続けていたが、そのうちようやく、
「おお、儂の身体を見るがいい。こんな不具者がどうして……」と辛くも嗄れ声を絞り出した。が、真斎には確か咽喉部に何か異常が起ったとみえて、その後も引き続き呼吸の困難に悩み、異様な吃音とともに激しい苦悶が現われるのだった。その有様を、法水は異常な冷やかさで見やりながら云い続けたが、その態度には、相変らず計測的なものが現われていて、彼は自分の言の速度に、周到な注意を払っているらしい。
「いや、その不具な部分を俟ってこそ、殺人を犯すことが出来たのですよ。僕は貴方の肉体でなく、その手働四輪車と敷物だけを見ているのです。たぶんヴェンヴェヌート・チェリニ(文芸復興期の大金工で驚くべき殺人者)が、カルドナツォ家のパルミエリ(ロムバルジヤ第一の大剣客)を斃したという事蹟を御存じでしょうが、腕で劣ったチェリニは、最初敷物を弛ませて置いて、中途でそれをピインと張らせ、パルミエリが足許を奪われて蹌踉くところを刺殺したのでした。