轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页
ところで、ここで特に、熊城君に一言したいのだが、あの女が兇器の鎧通しを握っていたと聴いて、僕は数当て骨牌の裏を見たような気がしたのだよ。あの失神は、実に陰険朦朧たるものなんだ。あまりに揃い過ぎているじゃないか」
「なるほど」法水は失望したように頷いたが、「とにかく細目を承ろうじゃないか。あるいはその中から、君の耄碌さ加減が飛び出して来んとも限らんからね。ところで、君の検出法は?」
乙骨医師はところどころ術語を交えながら、きわめて事務的に彼の知見を述べた。
「無論吸収の早い毒物はあるにゃあるがね。それに、特異性のある人間だと、中毒量はるか以下のストリキニーネでも、屈筋震顫症や間歇強直症に類似した症状を起す場合がある。しかし、中毒としては末梢的所見はないのだし、胃中の内容物はほとんど胃液ばかりなんだ。――これはちょっと不審に思われるだろう。けれども、あの女が消化のよい食物を摂ってから二時間ぐらいで斃れたのだとしたら、胃の空虚には毫も怪しむところはない。それから、尿にも反応的変化はないし、定量的に証明するものもない。ただ徒らに、燐酸塩が充ち溢れているばかりなんだ。