轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页

青空文庫

吾、隠されねばならぬ隠密の力を求めてそれを得たれば、この日魔法書を焚けり――と。と申して、すでに無機物と化したあの方の遺骸には、一顧の価値もございませんけれど、なんとなく私には、無機物を有機的に動かす、不思議な生体組織とでも云えるものが、この建物の中に隠されているような気がしてならないのです」

「それが、魔法書を焚いた理由ですよ」と法水は何事かを仄めかしたが、「しかし、失われたものは再現するのみのことです。そうしてから改めて、貴女の数理哲学を伺うことにしましょう。それから、現在の財産関係と算哲博士が自殺した当時の状況ですが」とようやく黙示図の問題から離れて、次の質問に移ったが、その時鎮子は、法水を瞶めたまま、腰を上げた。

「いいえ、それは執事の田郷さんの方が適任でございましょう。あの方はその際の発見者ですし、何より、この館ではリシュリュウ(ルイ十三世朝の僧正宰相)と申してよろしいのですから」そうして、扉の方へ二、三歩歩んだ所で立ち止り、屹然と法水を振り向いて云った。

「法水さん、与えられたものをとることにも、高尚な精神が必要ですわ。ですから、それを忘れた者には、後日必ず悔ゆる時機がまいりましょう」