轻松读懂日语经典作品
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つづみくらべ
鼓くらべ
山本 周五郎
「少女の友」1941(昭和16)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,577 字 · 18 页
困難な長い旅が終って、老人はいまやすらかな、眼覚めることのない眠の床に就いているのだ。
――ようなさいました。
お留伊には老人の死顔が、そう云って微笑するように思えた。
――さあ、わたくしにあなたのお手並を聴かせて下さいまし。
「わたくしお教で眼が明きましたの」
お留伊は囁くように云った。「……それで色々なことが分りましたわ、今日まで自分がどんなに醜い心を持っていたか、どんなに思いあがった、嗜のない娘であったか、ようやくそれが分りましたわ、それで急いで帰って来ましたの、おめにかかって褒めて頂きたかったものですから」
お留伊の頬にはじめて温かいものが滴った。それから長いあいだ、袂で顔を蔽いながら声を忍ばせて泣いた。……長いあいだ泣いた。
「今日こそ本当に聴いて頂きます」
やがて泪を押し拭って、お留伊は袱紗を解きながら囁いた。「……今までのようにではなく、生まれ変った気持で打ちます、どうぞお聴き下さいまし、お師匠さま」
今はもう、老人が観世市之亟であるかどうか確めるすべはない、けれどお留伊はかたくそう信じているし、またよしそうでないにしても、その老人こそ彼女にとっては本当の師匠であった。